声が声帯で作られるのは皆さんご存じだと思いますが、
この声帯に対する誤解は多く、たくさんのボイトレ被害者が発生する大きな要因になっているように思います。
是非、声帯に対する認識を整理して頂きたいと思います。
そもそも声ってなんなのですか?
声は声帯という器官で生まれます。
声帯で作られた振動音が声道内で共鳴し声になります。
たしか小学校の理科の教科書にそう書かれていました。
当時は「なんのこっちゃ?」と思ったものです。
声帯振動の仕組み
声帯とはこれです。(約20秒の動画ですのでご覧ください。)
↓
急いで録画したので僕のひげ面や背景のアレコレは見なかったことにしてください(笑)
はい、これ↑が喉に有るのです。
(実際にはもっと複雑ですが、歌においてはこの理解で大きな間違いは有りません。)
おー!なるほど~!!
この声帯を良く振動させる条件は二つです。
①きちんと閉じていること ※注1
②閉じた声帯の間を早く息が通り抜けること
です。
※注1
実際は超高速で閉じたり開いたりして振動音を作っているのですが、このブログでは「閉じる」と表現します。
そしてこの振動音がいわゆる声道で共鳴し声となるのです。
では、どのような閉じ方が喉に良いのでしょうか?
声帯振動の条件
では、おさらい!!まずはこのポイントを押さえましょう。
声帯が良く振動する条件はたった二つ。
①きちんと閉じていること
②閉じた声帯の間を早く息が通り抜けること
喉を開ける
日本には「喉を開ける」という呪いが有ります。
また呪いかよ!(笑)
喉を開ける、という言葉が何を指しているのはわかりませんが、
「開ける」という意識に限らず、
喉をコントロールしようとする意識が逆に喉や首に「力み」を生じさせ、
声を出しにくくしている状態になっている人が多く、驚いています。
喉は何も意識せず放っておくのが一番です。
↑この喉の意識についてはまた別記事で触れたいと思います。
声帯は閉じなければならないのに、「喉を開ける」なんて・・・
まったく正反対の概念のように思います。
これが理由で体(喉)が混乱している人のなんと多い事か・・・
「喉を開けてる人」の多くには、
舌骨筋などが力(りき)んで固く広がってしまい、声帯を守る軟骨部が下に落ち込んでいたり、
首筋に力が入り鎖骨辺りまで固くなっている
場合が多く見受けられます。これは声が出るのを阻害する「力み」です。
そこの力みを取るトレーニングをさせなければ先に進めない、そういう人が実際とても多いのです。
「喉を開けてます。って言ってるくせに、そこは喉じゃないでしょ!!首でしょ!!」
って言いたいのを我慢しながらレッスンしています(笑)。
もう一度言います。
喉を開けるという意識は喉の周りや首に力みを生みます。
まずは喉を開けるという意識を外しましょう。
声門閉鎖筋とは?エッジボイスとは?
声が出ているときには声帯は閉じています。
近年はそれが一般にも知られるようになり、「喉を開けるって何だろう」と思いながらも、
声帯を一生懸命閉じようとしている人が一定数います。
最近多くみられる傾向として、声帯を閉じる筋肉「閉鎖筋」を鍛えよう!!
っていうのも流行ってきているようです。
「この筋肉(声門閉鎖筋)を鍛え上手く使えるようになると、
良い声が出るようになる!!」
というのです。
(´○`; ポカーン
日本人は確かに声帯の閉じが弱いです。(と表現しておきます)
それに気づいた外国人の先生やトレーナーは意外に多く、
「(日本人には特に)声門閉鎖の強化が必要だ」と思うのは当然かもしれません。
しかし、
「なぜ声門閉鎖が弱いのか?」わからないまま強化させようとしたのでしょう。
そしてそういうレッスンを受けた日本人は「これだ!!」って思ってしまうのです。
確かに声門閉鎖筋の働きにより声をコントロールしている要素は大きいです。声門閉鎖筋と呼ばれている輪状披裂筋・輪状甲状筋・甲状披裂筋などが軟骨を動かし、軟骨にくっついている声帯をコントロールしていますから。声の高低をコントロールするのに重要な筋群ではあります。
はい、おさらい!!このポイントを押さえておきましょう。
重要ポイント
日本人は声帯の閉じ方が弱い
エッジボイスにご注意を!!!
声門閉鎖改善のトレーニング法として挙げられているのは「エッジボイス」と呼ばれているものです。
別名「呪怨声」と呼ばれていたりもします(笑)
エッジボイス自体は確かに声門閉鎖に有効ですし日本人はやったほうが良い。
とは言えます。
僕も必要な生徒に対してはエッジボイストレーニングをさせることもありますが、
本当に必要な人は20人に1人くらいかな。
でも、このエッジボイスはとても注意が必要です。
エッジボイスのやり方を間違えているせいで、声帯や喉周辺が緊張しすぎて、余計に結節やポリープの元になってしまっている人が多いです。
声帯や喉周辺の緊張が強まると確かに声帯は良く振動するようになり、声量が増したり、高い声が出るようになります。
でもそれだけで「これが正しい」と思ってしまうと、思わぬトラブルを招いてしまいます。
エッジボイスはやるのでしたら必ず信頼できるトレーナーの元で行うこと。
でもエッジボイスはあまりお勧めはしません。
声門閉鎖強化のために
本記事での最重要項目です。しっかり読んでください
昔テレビで見たのですが、
目の前にろうそくを立て、その火を揺らさないよう歌っている映像を見ました。
いまでもたまに「火を揺らさない」歌い方が良いのですよね?と聞かれることが有り、この考えはかなり浸透しているように思います。
また日本は、相手に息を吹きかけたり唾を飛ばすような話し方は「はしたない」という文化傾向がありますから、話し声も優しいですよね。
結論から先に。
日本人に声帯の閉じが弱い人が多いのは、まさにそういった「息を吐かない」で話すことが原因です。
声帯がちゃんと閉じないのは、息のスピードが遅いからです。
この動画をご覧ください。(シンクロナイズドスイミングの練習ではありません)
↓
慌てて録画したので、背景とかいろいろ見なかったことにしてください(笑)
紙を声帯に見立てます。
紙の間に息を吹くと、紙が息に吸い寄せられて紙が閉じます。
手を動かさなくても。
つまり、
声帯の間を息が通ると、「息に吸い寄せられて」声帯が閉じる。
声帯筋群を緊張させなくても。
ということです。
おおーー!!
科学?医学?では「ベルヌーイ」と呼ばれている現象です。
過度な声帯筋の緊張を使わないので声帯にも負担が有りません。
はい、もう一度、
息に吸い寄せられて声帯が閉じます。
声帯筋の力など必要ありません。(と表現しておきます)
声帯がきちんと閉じないのは声帯筋が弱いからではなく、
声帯を通り抜ける息が弱いからなのです。
特に日本人はその「おしとやか」な文化傾向により息のスピードが世界的に見て遅いのです。
声帯筋群の緊張だけで声帯を閉じるのを喉が覚えてしまうと、
声帯結節スパイラルから抜け出せなくなります。
エッジボイスのやりすぎや、不完全なエッジボイスも同様のトラブルを引き起こします。
声帯筋群の緊張による声門閉鎖、
と
息に勝手に吸い付く声門閉鎖、
このバランスというか配分?割合?が大事です。
日本人はベルヌーイでの声門閉鎖が弱いのです。そしてこれは、
ミックスボイスには不可欠な要素です。
日本人の場合はまず、
息のスピードを上げる訓練から始めましょう。
そして、
ベルカントの秘密の一つが息に勝手に吸い付く声門閉鎖に有ります。
これについても別記事を立てる予定です。少しお時間下さいね。
声はまず最初に、「息」有りき、なのです。
歌はとてもシンプルなものなのです。
数々の作られた「ボイトレ商品」「メソッド」のせいで、なにか奥義や秘法・秘伝みたいなものがあるかのように勘違いされています。
まぁ、そうした方が商品の売れ行きが良いのでしょうね。
終わり。
ベルヌーイの定理は学校で習ったけど、歌にも必要だったんですね!
う~ん。そう言っても良いように思うけど、それよりも声帯でベルヌーイの定理に基づく現象が起きることが無視されていて、息のトレーニングがおろそかになっていることが問題かな。
そのうち「ベルヌーイ・ボイトレ法」とか言い出す人がでてきたりして(笑)
やめて・・・。あまりにもバ〇過ぎる・・・・
反響があるようでしたら、 次回は本記事に準じた具体的な息のトレーニング法を紹介しようと思います!
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続てこちらもどうぞ。ミックスボイスの近道です。
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高い声をラクに出したい! 基礎トレーニング編
今日の「耳の矯正」動画
引っ叩かれそうなくらい(笑)スカッとする声ですよね。
え?ちりめん声に聞こえる?
あぁ、「声の表面しかキャッチできない耳」なんですね。
トレーナーやりたいなら耳の矯正もがんばりましょう!
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コメント
こんにちはいつも楽しく勉強させて頂いてます!先週、木曜日にMRIの検査の時、映像が上手く撮れなくてやり直しました。くどりんマークが素敵で効果的ですね歌声は透明な美しい声ですねありがとう❤️ございました。